ガバナンスってなんだろう「法令遵守」と「合意形成」で成り立つ土台

「ガバナンス(組織統治)」という言葉を耳にする機会が、増えています。

NPO法人や任意団体、企業や行政機関が安定して活動を続けていくためには、「ガバナンス(組織統治)」が欠かせません。

ガバナンス(governance)という言葉は、「統治」「支配」「管理」を意味し、組織が目標を達成するために必要な管理体制や仕組みを整え実行していくことを言います。

また、「ガバナンスは難しいもの」、「大きい組織だけが必要とするもの」と誤解されがちです。

ガバナンスは、抽象的で、「それでなに?」と、結局なにを指すのか分かりづらいと感じる人も多いかと思います。その意味を具体的に説明しようとすると意外と難しいものです。そのため、「ガバナンス=難しいもの」というイメージがつきまといます。

また、ガバナンスは、「ガバメント」つまり国や統治者が行うものというイメージがつきまとうので、コーポレート・ガバナンス(企業統治)など、〇〇・ガバナンスとあえて対象を組み合わせる場合もあります。そのため「ガバナンスは大きい組織だけが必要とするもの」というイメージがつきまといます。

しかし実際には、NPO法人や任意団体のように、構成員の多くがボランタリーな想いに支えられている組織や、地域で活動する小規模団体にこそガバナンスが不可欠です。
なぜなら、ガバナンスとは組織の中核となる「意思決定の仕組み」であり、トラブルを防ぎ、団体の信頼性を守るための土台だからです。

結論から言えば、ガバナンスの核となる要素は 「法令遵守」と「合意形成」 の2つだと考えます。
この2つが揃うことで、組織は透明性を保ち、トラブルを未然に防ぎ、持続的に社会的な信頼を得ることができると思います。

法令遵守(コンプライアンス)はガバナンスの基盤

ガバナンスを考えるときに最初に押さえるべきは、「法令遵守」だと考えます。

組織がどれだけ良い理念を掲げていても、法律や規則を守らなければ。信用は一瞬でガタガタと崩れ落ち、失われます。

法令遵守には次のような内容が含まれます。

  • 団体の種類(NPO法人・一般社団法人・任意団体等)ごとに求められる法的義務の履行
  • 会計処理や情報公開の適切な実施
  • 労働関連の法規(労働基準法・社会保険等)への対応
  • 個人情報や利用者情報、プライバシーの管理
  • 助成金・補助金等のルール順守 など

たとえば、NPO法人なら、毎年度の所轄庁への報告や、役員変更の届出、会計書類の公開義務などが課されています。

これらを怠ると、行政指導や厳重注意、最悪の場合は認証取り消しにつながる可能性もあります。

「知らなかった」ではすまされず、法令遵守は組織が継続して活動するための最低ラインです。言い換えれば、法令遵守なくしてガバナンスは成立しません。

ここが崩れると、組織活動の正当性が根本から揺らぎ、行政処分や助成金返還、社会的な信頼低下など、重大なリスクが生じます。

合意形成は、組織が “動く” ための仕組み

法令遵守は「守るべきルール」ですが、もうひとつ重要なのが 合意形成 だと考えます。

合意形成とは、関係者が情報を共有し、議論を重ね、納得した形で意思決定していくプロセスのことです。
組織内で「どう決めるか」が明確でなければ、現場は混乱し、責任の所在も曖昧になります。

合意形成の中心には、次のような仕組みがあります。

  • 理事会や役員会、社員総会など、意思決定機関の運営
  • その議事録の作成と共有
  • 組織内のルールや規程類(内規)の整備
  • フラットな意見交換や情報共有の場づくり
  • 利益相反やトラブルを避けるための透明性の確保

NPO・任意団体では、代表者が善意で多くの業務を担いすぎ、結果として意思決定が属人的になるケースが少なくありません。その場合、代表者の退任や体調不良がそのまま組織の機能不全につながりやすく、活動の継続性に大きなリスクを生みます。

また、設立の核となった代表者の独裁が続いてしまって、理事や監事、社員からの問題の指摘や改善要求を指摘を無視し続けてしまっているケースもあります。

合意形成の仕組みを整えることは「組織を個人に依存させない」ために必要です。
議論の経緯を文書化し、誰が見てもわかる意思決定の手続きを整えることが、組織の透明性と信頼性を高めます。

NPO法人や任意団体のように「人の善意」に支えられた組織こそ、合意形成が極めて重要です。
明確なルールと話し合いのプロセスがあることで、「誰かの独断」や「曖昧な判断」「いつの間にかできた慣習による運営」による不平等や不満を防ぐことができます。

法令遵守 × 合意形成 = 安定したガバナンス

ガバナンスは、法令遵守だけでも、合意形成だけでも成立しないと考えます。

  • 法令遵守だけ だと、正しさは担保されても、現場が動かず、硬直した組織になってしまう
  • 合意形成だけ だと、話し合いは多いがルールが曖昧で、結果として不正やミスが起きやすくなってしまう

法令遵守と合意形成、この2つを両輪として整備することで、組織運営は安定していくと考えます。

  • トラブルや不正の予防
  • 誰が見ても透明な意思決定
  • 組織内の対立や誤解の削減
  • 高い説明責任
  • 対外的な信頼の向上

このように、ガバナンスとは 法律を守りつつ、関係者が納得して進められる組織運営の仕組み そのものと言えます。

小規模団体こそ、今すぐガバナンスを整えるべき理由

「うちは小さい団体だから関係ない」
「人が少ないから合意形成の仕組みなんてつくれない」

こうした声はよく聞かれます。

しかし、規模が小さい団体こそ、役割が属人化しやすく、法令遵守のミスや意思決定の不透明さが大きなリスクになります

実際に私が相談を受けたケースでは、

  • 会計担当者が突然退任し、データがどこにあるか分からなくなった
  • 口頭で決めていたことが原因で、メンバー間に深い誤解が生じた
  • 報告義務を失念して行政から指導を受けた

といったケースがありました。

ガバナンスの整備は「書類を増やす作業」ではなく、組織が安心して活動を続けるための保険 のようなものです。

ガバナンスとは、組織を「守り」「動かす」ための仕組み

ガバナンスとは、単に難しい管理の専門用語ではありません。
それは、組織が地域で信頼され、安心して活動を続けるための根本的な仕組みです。

  • ガバナンスの中核は 法令遵守 と 合意形成
  • 法令遵守 は組織を守る盾 法令遵守は組織の信用を守る
  • 合意形成 は組織を動かすエンジン 合意形成は組織を動かし、透明な意思決定を支える

この2つが揃って初めて、説明責任を果たし、透明で安定した組織運営が可能になります。

NPO法人も任意団体も、今の規模にかかわらず、ガバナンスを整えておくことで未来の活動が守られます。

「いざという時に慌てない」ための準備として、今日から少しずつ仕組みづくりを進めていくことをお勧めします。

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