個人情報保護の初歩から実務まで 事業者向け研修で教えている4つの基礎項目

近年、私のもとに「個人情報保護に関する研修を実施してほしい」というご依頼が増えています。
特に、地方公共団体から委託を受けて福祉・相談・子育て支援などの事業を行っている団体や、補助金を活用して事業を進めている法人・NPO法人・ボランティア団体・自治会町内会・企業では、スタッフ向けの個人情報保護研修を実施することが必須、または強く求められているケースが多くあります。

個人情報の取り扱いは、法律上のルールを「知っている」だけでは不十分で、日々の業務の現場で無意識のうちに起こるヒヤリとする場面や、組織の体制づくりにも大きく関わってきます。
だからこそ、実務に沿ったわかりやすい研修が必要とされています。


私が担当している研修では、まず事業者が必ず守らなければならない「個人情報保護に関する4つの基本ルール」について整理します。

それに加えて、現場から特に質問の多い 「個人情報」と「プライバシー」の違い、そして 職場で実際に起こりがちなヒヤリハット事例 を紹介しながら、参加者の皆さんと一緒に「自分たちの現場では何に気をつける必要があるのか」を具体的に考えていきます。

個人情報保護研修が求められる背景

近年、個人情報に関するトラブルがニュースになる機会がとても増えました。
「USBメモリの紛失」「誤送信」「名簿の扱い」など、実はどの事業でも起こり得る身近なケースばかりです。

地方公共団体や補助金事業では、利用者の個人情報を扱う場面が多いため、スタッフ全体が正しい知識と意識を持つことが求められています。
特に福祉・子育て支援・相談業務・教育分野の事業者では、名前・住所・家族構成だけでなく、相談内容や生活状況など、センシティブな情報を扱うことが少なくありません。
そのため、ちょっとした油断が重大なトラブルにつながることもあり、スタッフ全員で共通理解を持つことが不可欠です。

研修で扱う「個人情報や個人データを取り扱うときの4つの基本ルール」

個人情報を扱うすべての事業者が押さえておかなければならない4つのポイントを、現場でよくある質問と絡めながら、具体的に説明しています。


個人情報の取得・利用
 ・個人情報は「必要な範囲」で集めることが大前提です。
 ・何のために集めるのか(利用目的)を、本人にわかるように説明しておく必要があります。
 ・集めた目的の範囲から逸脱して使ってはいけません。
  例:イベント参加者名簿を別の営業目的で使うのはNG。
 
個人データの保管・管理
 ・集めた個人情報は「安全に」管理する義務があります。
 ・パスワード設定、アクセス権の制限、紙の情報の施錠保管、ウイルス対策などが必要です。
 ・従業員教育・取り扱いルールの整備も含まれます。


個人データの第三者提供
 ・本人の同意なく、外部へ個人データを渡してはいけません。
 ・業務を再委託する場合は、再委託先に対する適切な管理が必要です。
 ・法律で認められている場合(警察・行政からの照会など)を除いて、ルールを守る必要があります。
 
保有個人データの開示請求
 ・本人が「私の情報を見せてほしい」「訂正してほしい」「削除してほしい」と求めた場合、事業者は対応する義務があります。
 ・手続き方法や窓口をあらかじめ決め、速やかに対応できるようにしておく必要があります。
  
これらは「法律上必須の基礎」であると同時に、トラブル防止の基本でもあります。

個人情報とプライバシーの違い

研修で必ず取り上げるのが、この二つの違いです。


個人情報:特定の個人を識別できる情報(法律上の定義)
プライバシー:外部に知られたくない私生活上の情報(個人の感覚に依存する部分が大きい)


この違いを理解していないと、「これは個人情報なの?」「これはプライバシーの侵害?」と判断に迷う場面が必ず出てきます。

しかし、その事柄が個人情報であってもプライバシーであっても、大切に扱い、保護しなければなりません。

特に現場では、利用者さんの生活状況や悩みごとなど、法律上は個人情報に該当しなくても、プライバシーに深く関わる情報が多く含まれます。


この点を丁寧に説明することで、スタッフの意識が大きく変わり、情報の扱い方がより慎重になります。


ヒヤリハット事例で学ぶ実務的な視点

研修では実際の現場で起こりやすいヒヤリハット事例を紹介し、参加者にも「自分の職場ではどうか」を考えていただきます。


よくある例は次のようなものです。
 • 利用者名簿を持ち歩いていて、気づかないうちに置き忘れた
 • FAXやメールを送る際に、宛先を間違えた
 • ゴミ箱に捨てたはずのメモ書きに、個人情報が残っていた
 • スタッフ同士の会話が、第三者に聞こえる場所で行われていた
 • パスワードを共有しすぎて、誰がアクセスしたかわからない

こうした「ヒヤリとした瞬間」を振り返ることで、具体的な改善策が見えてきます。


また、ヒヤリハットを共有しやすい職場づくりが、トラブル防止の第一歩であることも強調しています。


研修は対面・オンラインどちらでも対応

NPO法人など法人格をもった非営利団体、ボランティア団体、自治会町内会、小規模事業者、さまざまな現場に合わせた個人情報保護研修を承っています。


研修は 、対面・ZOOMによるオンライン のどちらも対応可能です。
 • 要点だけを短くまとめた「60分版」
 • 事例検討やワークを含めた「90~120分版」
 • スタッフのレベルに合わせたカスタマイズ研修
 • 個人ワーク・グループワーク形式での理解促進タイプ
など、確保できる時間や目的に合わせて柔軟に調整しています。

「まずは基礎だけ知りたい」「みんなでケースについて話したい」「内部研修として年1回のしっかりした内容にしたい」など、さまざまなニーズにお応えしています。


個人情報保護は、事業者にとっては守るべき義務ですが、同時に、利用者からの信頼を得るための大事な基盤でもあります。

スタッフ全員の理解が深まることで、業務の安心感と組織の信頼性が大きく高まります。


研修の内容について相談してみたい方、まずは概要だけ聞いてみたい方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。
メールでご連絡いただければ、日程や内容の調整をさせていただきます。

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